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なんで、まじめに生きているのに、ふまじめに生きている人より損している(ように思える)んだろう。
なんで、こんなにつらいのに、どうでもいいことで消耗したり、我慢したりしないといけないんだろう。
なんで、もっと生きたい人がたくさんいて、私はこんなに生きることに消極的なのに、明日も来ちゃうんだろう。

って思ったとき。

「頑張れ、絶対いいことあるから」って言われたら、辛すぎて喉が絞まるとき。

本や映画に、何度も救ってもらいました。
どんなにつらくても、まだきれいだと思う気持ちとか、残っていたのだと確認できました。
ぐちゃぐちゃになって泣いて、寝て、またなんとか電車に乗ることができました。

そんな私の救世主を、ちょっと、お裾分けします。

セーラー服の歌人 鳥居

歌人鳥居さんの人生について綴られた、ノンフィクションの本です。岩岡千景さん著。
冒頭を引用します。

過酷な運命を背負って生まれてくる人がいます。
この実話物語(ノンフィクション)の主人公もそんな一人です。
少女時代に父親から性的虐待を受けた母。
幼き日に目の前で見たその母の自殺、
その後、預けられた養護施設での虐待、若くしてのホームレス生活――
義務教育もろくに受けられず、拾った新聞などで文字を覚えた彼女が考えつづけた
「なぜ、生きなければならないのか?」という問いへの答えとは?
これは、生きづらさを抱えたあなた、
失意に沈んだ時のあなた、
悲しみにくれる日のあなた――
のための物語でもあるのです。

ここにあるように、鳥居さんの人生では、様々なつらい出来事が起こりました。
でも、私は「彼女はこんなに大変だったんだから、私のつらさなんて大したことない」って
そう思うための本ではないと思っています。
そうじゃなくて、つらいまま生きていてもときどき訪れる美しい瞬間を、
思い出すための本だと思っています。

彼女が、毎日に忙殺されながらも
アルバイト先の青果店でカットされたかぼちゃを眺めて、
クリムトの絵を思い出す、というエピソードが好きです。

セーラー服の歌人 鳥居 拾った新聞で字を覚えたホームレス少女の物語【電子書籍】[ 岩岡 千景 ]

女子をこじらせて

本です。雨宮まみさん著。

雨宮さんは、(写真でしか拝見したことがないのですが)美しくて、センスの良い方です。
しかも文才もある(って私が評価をするのは、おかしいけれど)。
なのに、彼女はずっと迷い続けて、かっこ悪い自分をさらし続けました。
そんな彼女の、「自分探し」時代の自伝的な本。
特に、「モテる」側にいないorいなかった、すべての女の子もしくは元女の子に。全力で薦めます。

とにかく、本の中の以下の文章が好きです。

言い訳しても、コンプレックスがあっても、人生ってありものでなんとかやってくしかないんですよ。
私も35歳のくたびれかけた肉体しかないですけど、これでやってくしかない。
冷蔵庫の中のしなびた野菜をなんとかおいしく食べられるように料理するようなもんで、
まぁ意外とイケることもあるって思うしかないですよね!煮込めばわからない!

雨宮さんが2016年に亡くなられたことが、本当に残念でなりません。

女子をこじらせて【電子書籍】[ 雨宮まみ ]

恋人たち

映画です。橋口亮輔監督の作品。

3人の、うまくいかない人たちの物語。

こんなに一生懸命話しているのに、真剣に受け止めてもらえない。
「真剣に受け止めなかった」人も、別の人の前で同じ思いをしていたり。

この映画を観に行ったとき、暗い気持ちで体がいっぱいで重くて、
映画の中でも悲しいことがたくさん起きて、理不尽なこともたくさん起きて、
でも、でも最後にきらきらする水辺が映って、
人生必ずいいことがあるとは言えないけど、
たしかに美しい時間は、毎日必ずあるんだよなあと思えました。

誰かにあなたと話したいと思ってもらえるなら、辛くても生きる意味があるのかもしれない。

恋人たち [ 篠原篤 ]