gazou

以前ラジオで脚本家の北川悦吏子さんが
「憧れが社会を変えていく」という話をされていました。

『ビューティフルライフ』や
『オレンジデイズ』など、彼女のドラマには
障害を抱えるキャラクターがしばしば登場します。

ラジオでは、
北川さんご自身の難病と闘われた経験についても話されていました。
彼女が話されていたことは、たしかこんな内容でした。

「障害を持つ人を差別しないようにしよう」といっても あまり響かない。
障害を持った人が出てくる物語で
「いいな」「素敵だな」と思う人がいたら、
憧れを持つ人がいたら、その方が社会は変わる。

私のこれから書くことは、「社会」なんて単位までは、
全然見据えられていません。
でも、私も、「憧れ」の力を信じています。

「自分もこれができたら素敵だ」と思うことが
仕事の内外であるから、人は働けると思う。
ぎりぎり歯ぎしりしながら、明日をもっとよくしたいと考えるのだと思う。
それを積み重ねていくことが、大人になるということなのかな、と、
全然大人になれない幼いアラサーは、思うのです。

東京タワー

シティなにおいのする小説といえばこの方。江國香織さん著。
人妻と若者という組み合わせの、2組のカップルの話です。

一番最初にこの本を読んだのは、中学生のときでした。
東京都内とは思えない田舎に住んでいた私は、
都会の大人の暮らしに憧れていて、
江國さんの小説を何冊も何冊も読みました。

『東京タワー』は、初めて読んだ江國さんの小説でした。
小説の記憶で最後に残るのは
ストーリーではなく印象だと思うのですが、
この本の中で印象的だったのは、
若者の一人、透が
重い扉を開いて、渋谷のバーに入るところ。
「大人になれば、扉一つ開けるだけで別の世界に行けるのだ」と
学校と家が世界の全てだった中学生の私は、どきどきしました。

「行きつけのバー」はまだないけれど、
それができるまで生きてみたら大人になるのも面白いのかも、と
ひそかな楽しみとして、とっておいています。

潔く柔く

いくえみ綾さんの漫画です。
幼馴染であるカンナ・ハルタ。
同じ中学出身の真山・朝美。
4人は、高校で知り合い親しくなる。
ある大きな出来事が、彼らの関係を引き裂いて・・・。

様々な人物の視点から物語が紡がれていき、
最初は各エピソードで完結する
オムニバスなのかと思っていました。
しかし、最終巻に向かって彼らは「関係していく」。

いくえみさんの描くものは等身大だけど素敵。
だから好きです。

この漫画で「こういう大人、いいな」と思うシーンは
二つあります。

一つは、カンナの友達・千家が、
微妙な関係である友人・古屋と寄席に行くところ。
二人は友人としては信用しあっていて、
でもちょっと探りを入れたりしている。
そういう人と寄席に行くって、いいなあ。
「想像力で楽しむ」娯楽が面白いと思えたら、
大人なんじゃないか、と勝手に思っています。

もう一つは、カンナが苦手だと思っていた赤沢と、
たまたま入ったフレンチで、幸せな時間を過ごすところ。
通りがかりに見つけたフレンチに入って、
しかもそこが、おいしい。
外れるかもしれない可能性も含めて面白がれる。
ご機嫌な感じが、いいです。

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